
子どもの「NO」は、大切なメッセージ
「いやだ」「やりたくない」と言葉で伝えることや、気に入らないことがあったときに泣くこと。どちらも、とても大切なことです。これは、子どもだけではありません。大人にとっても同じですよね。嫌な気持ちや苦しい気持ちを、いつも我慢していたら、心は疲れてしまいます。
一昔前の教育では、「嫌でもやる」「大人や先生の言うことを聞く」ということが強く求められていたように思います。でも今の時代は、「自分の気持ちを伝えること」も大切にされるようになってきました。
だからといって、「いやだ」と言えば何でもやらなくていい、ということではありません。
大切なのは、「なぜ嫌なのかな?」と、その子の心の中に耳を傾けようとすることなのだと思います。
何が嫌なのか。その場面が嫌なのか。見通しが持てないことが不安なのか。誰かとの関わりが嫌なのか。ただ疲れているのか。それとも、別のSOSを伝えようとしているのか。そこを丁寧に探っていくことこそが、療育の大切な役割だと感じています。
一人ひとりに寄り添いながら、その子を知っていく。その中で、私たち大人が気をつけたいことがあります。それは、知らず知らずのうちに「こうしてほしい」という大人の都合の良い方向へ、子どもを誘導してしまわないことです。
「本当は、この子はどう感じているんだろう?」
そう問いかけることから、子どもの本当の気持ちが見えてくることがあります。もちろん、その答えは最初から決まっているわけではありません。同じ子であっても、その時、その場所、その日の体調や気分によって反応は変わります。だからこそ、目の前の行動だけで決めつけず、その前後に何があったのかも含めて、丸ごと見ていくことが大切なのだと思います。
先日、事業所にいらしたお母さんとお子さんとのやりとりが、とても印象に残っています。そのお子さんがいらしたのは2回目。挨拶を交わしたあと、入口でオムツのあたりに手を当てて、足を止めて入室を拒みました。
「おしっこ出たのかな?」と私が声をかけると、お母さんは優しく、「嫌なときは、こんなふうにするんです」と教えてくださいました。
お母さんは、お子さんが今「いやだ」と感じていることをしっかりと受け止めていました。だからこそ焦らず、どこかに行ってしまわないよう静かに名前を呼びながら、必要以上に言葉をかけずに、温かく見守っておられたのです。
そして、数分後。お子さんは部屋の中の玩具に気づくと、自分からすーっと入室していきました。とても自然に、スムーズに。
「理解した上で、待つこと」「必要以上の声をかけず、信じること」。お母さんのその姿を見て、私自身、とても大切なことを教えていただいたように感じました。お子さんの「なぜNOなのか」を理解しているからこそ、お母さんはゆったりと待つことができたのだと思います。
気持ちの示し方は、一人ひとり違います。言葉で「いや」と言える子もいれば、泣いたり、逃げたり、動かなくなったり、別の行動で教えてくれる子もいます。
その行動を「困った行動」と決めつけてしまう前に、「この子は、今なにを伝えようとしてくれているんだろう?」と一度立ち止まって考えてみる。
「NO」をなくすことではなく、安心して「NO」と言える関係を作ること。そして、その「NO」の奥にある気持ちを、保護者の方と一緒に探していくこと。
子どもの「NO」を理解できたとき、その子に合った関わり方のヒントが見つかることがあります。
そんな温かい関わりを、これからもCoconaでは大切にしていきたいと思っています。

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